20061119
円山弁天堂
住所 京都市東山区円山町
祭神 吉水辨財天
摂社

末社
なし
神徳 鍛治・音楽・恋愛等
由緒  健久の年、天台座主慈鎮が安養寺を経営するに当り、辨財天を寺の鎮守として勧請した。吉水とは元来土地の名で、安養寺境内から霊泉が沸き、「よい水」だから「吉水」と称したと伝わる。この水は青蓮院宮歴代法親王が灌頂法会を行う時、道中に高張提灯を建て深更に汲みに来ていた。また知恩院や東大谷からも正月の仏前の初水として年々汲みに来ていたという。
 三条小鍛治宗近ないし粟田口藤四郎吉光は、辨財天に請願し、当山の石を以って鑪盤とし、辨財天の相槌を得て、吉水をもって刃の水となして名刀を打ったという伝説があり、今も社壇の下に鉄砧石が残っている。また、安養寺住持であった源照という琵琶法師が宮中で奏せんと辨財天に祈り、ついに天聞に達し後小松院に召され、盲人としてはじめて紫衣を賜った。その御礼として弁天堂を建立したので紫衣辨財天とも呼ばれることになった。
 弁天堂には慈鎮が叡山より勧請した秘仏があり、60年ごとの巳年に開帳される。みだりに開帳すると失明するという伝承がある。また、慈鎮の石造宝塔があり鎌倉期の作として重要文化財に指定されている。正面に開扉があり、釈迦・多宝二如来が蓮華座に安置されている。親鸞の娘がこの地に埋葬され、その供養塔であるという説もある。
 辨財天は、妙音天・美音天とも訳し、金光明経を受持する者を守護している。もともと仏教伝来とともに印度から伝わった天女で、サンスクリットでは「湖を有する者」の意を持つ。水は生命を生み出し、その水を司る神であることから一切世間の母と崇められている。辨財天は七福神の中でも唯一の女神とされ、容色麗しく、音楽・技芸・福徳・延寿・財宝・弁舌・知恵・恋愛・除敵など、様々な現世利益を授ける。祇園には「"恋の叶わぬときは 円山辨天様の池の井守のつがいを採って 真っ黒黒焼き大和のほうらく 想う方にふりかけしゃんせ この恋叶います"」という唄が残っている。
 円山公園の東、東山の山麓に円山弁天堂がある。切妻平入に大きな唐破風がつく。
 清水湧き出る小さな水盤舎。
 吉水辨財天女の高提灯。
 鎌倉期重文指定の慈鎮宝塔。
 池の井守が出そうな滝口。今はもう枯れている。
 法然上人閼伽の水。
勝手にリンク なし
参考文献 京都・山城寺院神社大事典 平凡社 1997
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