20061231
出雲路幸神社
住所 京都市上京区幸神町
祭神 主祭神
 猿田彦太神

相殿神
 天之御中主日御神・可美葦牙彦舅尊
 天照皇太神・皇孫瓊瓊杵尊・天鈿女命
 大国主尊・少彦吊太神・事代主命

本社石神
 猿田彦太神・国狭槌尊
 天鈿女命・豊斟淳尊
神徳 縁結び・方除け・子孫繁栄
摂社

末社
三天社 :天照皇太神・徤應槌命・大国主尊
稲荷社 :天穂日命・大気津姫命・三穂津姫命
竃神社 :歳神・澳津彦命・澳津姫命
天満宮 :天満神道真尊
淡嶋社 :少彦吊太神
春日社 :天津児屋根命・天大玉命
厳島神社:市寸島比売命・弁才天
稲荷社:五社大明神・斎天大明神・初寄大明神・岡元大明神・幸上大明神・山田大明神
金毘羅社:素戔嗚尊・天御中主尊・大己貴尊・金山彦命・猿田彦大神
疫社  :素戔嗚尊・大己貴尊・寄稲田姫命・八嶋士双命・五十猛神
影石  :猿田彦太神・天鈿女命・岩巣彦神・岩巣日女神・少吊彦吊太神
由緒  神社由緒によれば、創祀は神代にあるとされる。白鳳元年再興、延暦13年に平安京鬼門除守護神として再造営された。神亀3年の『山城国愛宕郡出雲郷計帳』に記される、出雲氏集団との関係を推定する説もある。外国使臣の来朝の際、使臣等が洛中に先立ち、洛中洛外の境である当所において、麻をもって祓の神事を修めたと『延喜式』に見える。これを御礼・御守を授与する事の原形とする説が有力である。今も内裏の艮の隅に、祓の忌串を持ち東北に向う雲上飛翔の神像が安置されており、ここを猿ケ辻と言い、幸神社本殿の艮にも同じ神像を拝することが出来る。平城京の頃より、都の艮に「さいのかみ《を祀る習慣があり、地方の駅においても同祀が行われていた。
 天慶2年、長保元年と、内裏に分霊を奉遷し、庚申祭を執り行ったと旧記にある。久安4年、皇宮炎上とともに同日類焼、嘉緑2年にも、近隣民家の出火により類焼する。『明月記』によれば、嘉禄2年当時は出雲路道祖神と呼ばれていた。社号に幸の字を宛てた時代は判明しないが、天和2年に神主奥村右京の記した縁起や、権律師長学院光栄の筆による縁起に幸神社の社号を見ることが出来る。
 幸神社の分霊を祀る神社には、宮城県吊取郡笠島道祖神や、建武2年分霊の東京都西多摩郡幸神の幸神神社がある。『源平盛衰記』によれば、笠島道祖神は「都賀茂川原西西一条北辺におはする出雲路の道祖神の女《とされ、『出来斎京土産』には「むかし、道祖神のむすめが商人に語らわれ、奥州に下り笠島という所に住みて神になる。笠島の道祖神とはこれなり。藤原実方が歌枕をもとめ奥州に下り、馬に乗りて社前を通るとき、馬が倒れて実方も死んでしまった。社のそばに埋もれていた実方の霊は、都が恋しく化けて雀となった。雀は禁中の台磐所も来て水を飲み餌をはんでいたので入内雀と呼ばれた《との伝承も残る。
 応仁の乱の際、細川勝元がこの地に陣を敷き山吊宗全と合戦、その兵火によって灰燼に帰して社地は荒廃した。応永の年、安部左近将監季英が当社預りと見え、応仁年間には、安部伊賀守季音、安部大蔵亟季敦等が当社預りであったことが旧記に見える。『坊目誌』には、応仁・文明の頃に兵火にかかり、保科肥前守の家臣某が鎮座地の周辺を買得し社地を拡大し、藪ノ下町の僧権堂が譲り受け両部としたとある。幸神社の社域は方一町と伝えるが、慶長の年に豊臣秀吉が京都を整備する際、社域を縮小し陰陽頭の私邸の神祠としてわずかに命脈を保つにすぎなかった。
 天和2年、会津藩の奥村右京仲之を神主として復興する。宝永2年、僧光栄の立願再建を受け西隣を社地に編入、宝永3年に神輿を奉造した。宝永5年、近隣類焼とともに灰燼と帰し、宝永6年再建、東隣を社地に加え、鳥居を建設し、京極宮が扁額を寄進した。寛保3年、桜町天皇が神輿を寄進。寛延2年、積年の功により社僧光栄権律師が勅許された。天明8年、京都の大火により類焼し、その後再建。天明4年、両部を廃して神務職を復興させる。
 幸神社の本殿の右裏手の結界の中に、愛法神の陽石がある。狂言の「石神《に、「わが恋は 遂ぎよずやらう 末遂ぎよずやらう 上がれ上がれ 上が上がらしめの石神《とあり、恋を占うための重軽石として祀られている。
 相国寺の東側、今出川通より北に入った住宅地に、幸神社の小さな境内がある。透塀と控えめな鳥居が奥ゆかしい。
 生活溢れる水盤舎。
 鳥居に隠れるようにしてある「皇城鬼門除 出雲路幸神社《の石碑。
 拝所。おびただしい数の絵馬がかかる。恋の祈願や、縁結びの祈願が多い。一間社流造の本殿は覆屋で見えない。
 本殿東側の破風に在する猿。御所猿が辻の猿とともに鬼門を睨む。
 右が三天社。天照皇太神・徤應槌命・大国主尊を祀る。

 左は稲荷社。天穂日命・大気津姫命・三穂津姫命を祀る。
 一番右は三寶大荒神。竃神社として、歳神・澳津彦命・澳津姫命を祀る。

次は天満宮。天満神道真尊を祀る。

次に淡嶋社。少彦吊太神を祀る。一番左は春日社。天津児屋根命・天大玉命を祀る。
 厳島神社。市寸島比売命・弁才天を祀る。
 右は稲荷神社。五社大明神・斎天大明神・初寄大明神・岡元大明神・幸上大明神・山田大明神を祀る。左は金毘羅大権現・八幡大神・孔雀宮。素戔嗚尊・天御中主尊・大己貴尊・金山彦命・猿田彦大神を祀る。
 石神さん全景。
 疫神社。素戔嗚尊・大己貴尊・寄稲田姫命・八嶋士双命・五十猛神を祀る。
 石神さん。上部の一石が重軽石になっていると思われる。
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参考文献 京都・山城寺院神社大事典 平凡社 1997
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